会社のXを1人で毎日3本。続く理由は「私が書かない」から(前編)

大阪でAI/DX研修とシステムの受託開発を行うSky Grid株式会社の、Xの広報アカウントは、新卒1年目の広報が1人で運用しています。中の人も、このVIEWSを書いているのも、同じ私です。
1人といっても、実際は2人です。もう1人はAI(Claude)。2026年6月に始めて、4か月半で投稿は538件になりました。続いている理由を先に言うと、私が書いていないからです。書くのはAIで、私がやるのは判断。そのために、X運用の決まりを全部書き下してAIに渡してあります。この記事は前編として仕組みの話を、後編では毎日の回し方を書きます。
先に、いまの形を数字でまとめます。
- 運用する人:1人+AI
- 始めた時期:2026年6月
- これまでの投稿:538件(2026年10月19日時点)
- 投稿1本ができるまで:5分以内(仕組みを作る前は約20分)
- ためてあるネタ:約800件
- 最終判断と投稿ボタン:必ず人。自動投稿はしない
企業のX運用で、書く作業より先に渡すものがあった
AIに任せると決めたとき、最初に渡したのは文章の書き方ではありません。「これは会社のアカウントから出していいか」という判断のほうです。
きっかけは、投稿やリプの下書きをAIに任せたあとも、仕事が減った実感がなかったことです。このことは、仕組みを作ったときにnoteへ書きました。
「それでも、しばらく一つだけ仕事が残っていました。『この文章、会社のアカウントから出して大丈夫かな』と判断する作業です。判断だけなら一瞬なんですが、実際はそうなりません。気になる言い方を見つけては直しを頼み、直ったら別の場所が気になる。それを繰り返して、結局ほぼ全文を書き直した日もあります」(noteの記事より)
「書く作業は渡せたのに、出していいかを決める作業が渡せていなかった」(同)
だから、判断のほうを分解して、スキルに書きました。
スキルは、AIに仕事を渡すときの手順書です。やってほしいこと、守る決まり、確かめ方までを1つのファイルにまとめておくと、AIは毎回それを読んでから動きます。口で毎回指示する代わりに、指示のほうを育てていく形です。
「出していい日か」は、AIが先にカレンダーを見る
スキルのいちばん手前に書いてあるのは、日付の判断です。世の中が静かにしている日や、大きな災害の直後に、ふだんどおりの宣伝は出すべきではありません。投稿を控える日や時期の一覧と、再開の考え方を文章にして、判定ごとAIに委ねています。
AIは下書きを作る前に、必ず今日の日付を取って一覧と照合します。該当する日なら下書きを作らず、「今日は控えるのが安全です」と理由だけ返してきます。この夏、実際に2回止まりました。私はその日の投稿を見送りました。私が忘れていても、AIは毎回必ずカレンダーを見ます。決まりを書いた本人より、書かれた決まりのほうが忘れません。
「配慮して」と書いても、AIには効かない
判断を渡すときに一番つまずいたのは、指示の書き方でした。最初はスキルに「相手に配慮した言い方にしてください」と書いていました。noteにも書いたとおり、これはまったく効きませんでした。
「判定をAIの主観に預けているので、そのときによって答えが変わります。社内ルールと同じで、『配慮してください』と書いた規定が機能するのは、もともと配慮できる人が読んだときだけです」(noteの記事より)
「主観に委ねた指示は、人にもAIにも同じ壊れ方をするようです」(同)
なので、決まりは全部、照合できる形で書いています。「上から目線になっていないか」ではなく「この語が入っていないか」。「失礼になっていないか」ではなく「避ける語の一覧に一致しているか」。固定できる日付は一覧で持ち、災害直後のような列挙しきれないものは、性質で判定させる。「列挙できるものはリスト、列挙しきれないものは性質判定」(同)。この分け方が、いちばん応用が効いています。
会社の軸と文体も、照合できる決まりにした
同じ形で、会社としての線引きも書いてあります。軸は「煽らない。人や先人を下げない。ただ新しいものを共有する」。使わない言い回しは一覧にしてあり、AIは下書きのあとに自分で照合します。
文体も決まりです。一人称は「私」、です・ます、投稿は標準語(私は関西人ですが、投稿では関西弁を使いません)、絵文字は0〜2個。ここまで書いてあると、AIの1案目から会社の声で出てきます。以前はAIと質問をやり取りしながら1本に20分ほどかけていましたが、いまは5分かかりません。
「自分がいなくても回る」ところまで書いた
スキルと別に、引き継ぎ資料も作ってあります。誰かに引き継ぐ予定があるからではなく、私がいない日でも、誰が引き継いでも、同じ基準で回るようにするためです。1人で任された仕事ほど、決まりを自分の外に出しておく価値があります。
資料作りで同じことをやった話は、AIで作る資料の体裁を守らせるに書きました。
後編では、このスキルで毎日3本をどう回しているかを書きます。約800件のネタ帳、口調の違う2案から選ぶやり方、そして返信の言葉づかいをAIが直してから出す仕組みの話です。後編は近日公開の予定です。
Sky Grid株式会社は、大阪のシステム開発会社です。お客様の業務に合わせてシステムを作る受託開発を中心に、生成AIを使ったシステム開発、AI/DX研修などを行っています。社内の仕事をAIに渡す仕組みづくりについてのご相談は、お問い合わせフォームからどうぞ。
この記事は2026年10月時点の内容です。


