X投稿1本5分。浮いた時間より、なくなった迷いの話(後編)

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X投稿1本5分。浮いた時間より、なくなった迷いの話(後編)

大阪でAI/DX研修とシステムの受託開発を行うSky Grid株式会社の、Xの広報アカウントは、新卒1年目の広報(私)とAIで運用しています。前編では、判断・会社の軸・文体をスキル(AIに渡す手順書)にまとめた話をしました。後編は、そのスキルで毎日をどう回しているかです。

前編はこちらです。会社のXを1人で毎日3本。続く理由は「私が書かない」から(前編)

先に、毎日の形を数字でまとめます。

  • 投稿:1日3本が目標。朝・昼・夜で型が違う(日曜は投稿しない)
  • これまでの投稿:538件(2026年6月に開始、10月19日時点)
  • ネタ帳:約800件。置き場は4つ
  • 下書き:毎回、口調の違う2案から選ぶ
  • 返信の直し:3周で打ち切り
  • 1本ができるまで:5分以内

X運用の1日3本は、時間帯で型を決めている

時間帯ごとの型も、スキルに書いてあります。朝は長文で、読む人を1人に絞って書く(AIを初めて使う人なのか、新卒なのか、経営者なのか)。昼は短いコツか図解。夜は長文か、その日の気づき。

型が決まっているので、AIへの頼み方は「朝の長文を、◯番のネタで」だけで済みます。ゼロから「今日なに書こう」と考える時間は、もうありません。

投稿のネタ帳は約800件。番号で呼ぶ

ネタは1つの表にためて、番号で管理しています。置き場は4つです。

  • ふだんの思いつきをためる置き場
  • ここぞという日のためにとってある本命の置き場
  • AIに掘らせたネタの置き場
  • 社内の対談動画から拾ったネタの置き場

合わせて約800件たまっていて、ここから4か月半で538本を投稿してきました。似たネタがたまってくるので、「被ってそうなものを消して」とAIに定期的に整理させています。ネタ切れの日は、AIに掘らせた置き場から選びます。

ネタの拾い方も決まっていて、その日の仕事で起きたことを、そのまま投稿にします。AIに頼んでうまくいったこと、直させたこと、しっくりこなかったこと。会社のアカウントですが、作り話は1本もありません。

下書きは、口調の違う2案から選ぶ

下書きは、AIに必ず2案出させます。決めているのは、2つの案を文言違いにしないことです。同じ型で言葉だけ変えた2案は、同じ欠陥を共有するからです。

実際の使い分けはこうです。A案はビジネス寄りの口調、B案は優しめの口調で出てきます。投稿で選ぶのはだいたいAです。会社のアカウントとして芯のある言い方が合うからです。逆に、社外の方への返信はBを選びます。相手がいる文章は、柔らかく入るほうが安全だからです。

返信の言葉づかいは、AIが直してから出す

いちばん神経を使うのは、社外の方への返信です。ここには専用の関所があります。作ったきっかけも、noteに書いたとおりです。

「他社さんの投稿にコメントを送るとき、毎回手が止まってしまいます。『参考になりました』と打って、消す。『勉強になります』に変えて、また消す。失礼な気がするけれど、なぜ失礼なのかは説明できない」(noteの記事より)

分解して分かったのは、引っかかる理由が丁寧さではないことでした。「参考になりました」は、相手の話を自分の判断材料として扱う言葉で、こちらが相手を採点する側に立ちます。敬語を足しても、この構造は消えません。抜け道は1つだけでした。

「相手を評価する言葉ではなく、自分に起きたことを書く」(同)

「わかりやすかったです」ではなく「すっと入ってきました」。「参考になりました」ではなく「試してみます」。こうした言い換えを一覧にして、返信の下書きは出す前に必ず照合させています。引っかかったらAIが自分で書き直し、3周直しても通らなければ、その返信は出しません。実際にAIからこう返ってきたことがあります。

「今回は見送りをおすすめします」(同)

引用できる一節も、反応した具体箇所も渡さずに書かせたときの答えです。無理に埋めて送るより、送らない。この判断ごと仕組みに入れてあります。

もう1つ、効いた書き方があります。最初の指示は「気になる言い方があれば教えて」でした。これだと直すのは私のままです。

「『教えて』ではなく『直して出して』に変えたら、確認の工程がまるごとなくなりました」(同)

この関所の中身(避ける語の一覧、言い換えの根拠に調べた文化庁「敬語の指針」やマナー本319冊の研究、コピーして使える4行の指示文)は、noteの記事に全部載せています。

図解は、一覧にしない

図解の投稿は、コツを並べた一覧にせず、関係図・判断の分かれ道・手順のような構造で見せる決まりにしています。一覧は読んで終わりますが、構造になっていると「あの人に送りたい」が生まれるからです。実務系の図解には、機密や個人情報をAIに入れないよう促す注意書きを必ず添えます。

X運用の数字は、量より「誰に届いたか」を見る

反応の数字は毎日見ますが、追いかける中心は、いいねの数そのものではありません。誰かに送られたか、返信や引用が来たか、フォローにつながったか。会社のXの仕事は、数を集めることより、当社を調べた人が見に来たときに「ちゃんとした会社だ」と感じてもらうことだと考えています。流入はホームページの記事が担い、Xは会社の顔を担う分担です。

SNSを1人で任された方へ

文体の前に、判断から書き下すことを勧めます。何を出さないか。どの日に止めるか。何周直したら見送るか。ここを先に決まりにしてAIに渡すと、毎日の「これ出して大丈夫かな」が仕組みの仕事になります。

1本20分が5分になって、浮いたのは時間です。ただ、振り返っていちばん大きいのは、迷いがなくなったことでした。出していい日か。この言い方は失礼ではないか。迷いを仕組みに渡せたぶんだけ、続けられています。

Sky Grid株式会社は、大阪のシステム開発会社です。お客様の業務に合わせてシステムを作る受託開発を中心に、生成AIを使ったシステム開発、AI/DX研修などを行っています。社内の仕事をAIに渡す仕組みづくりについてのご相談は、お問い合わせフォームからどうぞ。

この記事は2026年10月時点の内容です。

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